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ペット豆知識・号外-第3弾10問目・アメリカでは犬もマリファナ?-

●アメリカの犬・猫の誤食事情-トップ5と催吐法-
 
 悔しいかな日本の獣医学はいまだに、いやこれからも当分の間、アメリカ獣医学の「受売り」が続くことでしょう。「受売り=請売り」は広辞苑によれば「他人の意見や学説をそのまま自分の説のようにしてのべること。」とあります。大学の教官をはじめ、開業医にしてもアメリカ獣医学のUp-to-date(最新)の知識や技術のノウ-ハウ(know-how)をいち早く「仕入れ」たものが、「勝ち組」になるといっても、過言ではありません。やはり悔しいですネ。当たばる動物病院グループでも遅れまじと英文雑誌を購入して「最新情報の仕入れ」をしています。そこで最近の雑誌に記載されていたもので、「豆知識」でもとりあげ、夜間救急でも頻繁にみられる「誤食の中の5食」について一部訳してみましたので、参考にして下さい。

①殺鼠剤(Anticoagulant rodenticides):無症候性か摂取後数時間であれば催吐処置を行う。活性炭の投与。症状が出ていれば解毒処置は有効ではない。症候性で持続や繰り返しの摂取が疑われれば、活性炭を与えるか、瀉下剤を投与する。症状が出た場合の治療法は解毒剤としてのビタミンK1(Phytonadine)の投与、呼吸困難に対しては酸素療法、血胸がある場合には胸腔穿刺、貧血には輸血(新鮮全血もしくは保存の赤血球と血漿)、出血に対しては新鮮もしくは凍結保存された血漿で凝固因子を提供する。
②チョコレート(Chocolate):摂取直後であれば催吐処置。活性炭・塩類(瀉)下剤の投与。腸肝循環するメチルキサンチン(Methylxanthines)の吸着のため摂取後72時間まで3~8時間おきに活性炭の投与。大量摂取であれば胃洗浄の実施。痙攣発作があればジアゼパム(Diazepam)、フェノバルビタール(Phenobarbital)、ペントバルビタール(Pentobarbital)の投与。心室性期外収縮出現の場合はリドカイン(Lidocaine)の投与。輸液療法。膀胱壁からの尿中メチルキサンチンの再吸収を防ぐために尿道(膀胱内)カテーテルの留置。
③エチレングリコール(Ethylene glycol):無症候性で摂取後4時間以内であれば催吐処置。活性炭と塩類下剤の投与。Fomepizole(4-MP)の投与。4-APがなければ7%-20%エタノールの投与。補助療法として輸液による利尿の保持。無尿の場合にはフロセミド(Furosemide)、マン二トール(Mannitol)、ドーパミン(Dopamine)の投与。代謝性アシドーシスには重炭酸ナトリウムの投与。症候性の低カルシウム血症には10%グルコン酸カルシウムの投与。重度腎不全に陥れば腹膜透析・血液透析の実施。
④マリファナ(Marijuana):無症候性で摂取後短時間であれば催吐処置。活性炭と塩類下剤の投与。マリファナは腸肝循環をするため活性炭の何回もの投与が効果的。輸液による補助療法。呼吸抑制があれば酸素療法。興奮や不安症(Agitation)にはジアゼパムの投与。
⑤メタアルデヒド(Metaldehyde):過度の震え(震顫=しんせん)や痙攣はないが注意活発な状態ならば催吐処置を施す。活性炭・下剤の投与。催吐処置が禁忌であるよなら胃洗浄を行う。痙攣がある場合にはジアゼパムの投与。筋肉の震顫と痙攣がある場合にはメトカルバモール(Methocarbamol)を投与する。他の治療に反応が悪い難治性の痙攣の場合にはプロポフォール(Propofol=麻酔薬)を投与。補助療法としての輸液。過呼吸もしくは呼吸困難に対しては酸素療法。代謝性アシドーシスには重炭酸ナトリウムを投与する。(全訳)
 
 では、アメリカでの催吐法?、どのようなものなのでしょう?。

①Ipecac syrup(商品名):犬ではこのシロップを1~2ml/kg、猫では3ml/kgで、1回は再投与が可能。
②3%過酸化水素(Hydrogen peroxide=H2O2):2~5ml/kg、犬では総投与が50mlを超えない。猫では同じく10mlを超えない。
③アポモルヒネ(Apomorphine):犬のみの処方で、0.04mg/kgを静脈内もしくは筋肉内投与、0.08mg/kgの皮下注射。または0.025-mgの錠剤を細かく潰して水に溶かし、結膜下に投与する。
④キシラジン(Xylazine):猫で1.1mg/kg筋肉内投与。
(全訳)

<最後に>日本では認可されていない薬や使用し辛い麻薬系催吐剤など、日米間での差異がありますが、そこらにあるものは何でも口にするのは共通のようです。興味深かったのはやはりマリファナですが、今の世相柄、コメントは控えます。※※※催吐法については誤食したものやペットの持病などにより、各病院で考え方が異なりますので、必ず病院に相談するのが賢明です。上の記述はあくまでアメリカ合衆国でのかつ一部の考え方と受け止めて下さい。(Dr.田原)

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