<仔犬・仔猫は小さいほど可愛いが・・・>
●生後間もない動物は、病気に対する抵抗力が十分でないばかりか、親からもらった移行抗体が減り、ウイルス性の伝染病に罹患する可能性が増大する。また、幼弱の動物は薬剤に対する副作用も強く現われることから、「駆虫剤」などの投与も儘ならぬのも事実である。さらに、親から離される時期が早いと、しつけの面で後々大きな問題へと発展する。
<可能なら生後3カ月齢、最低でも2ヶ月齢を過ぎて引き取る>
●ドイツでは生後2ヶ月齢までの仔犬販売を禁じている。イギリスでは3ケ月齢とドイツよりの1ヶ月長い。ドイツの法律はペットショップでの仔犬販売すら禁止している。一時東京都でもイギリス方式の導入を条例で決めようとしたが、頓挫中である。日本では35~40日齢でも販売されているのが現状である。業者側にとって早めに販売することは、その分の手間が省ける。しかし、動物側にたった場合、上記で示した病気やしつけの観点から、動物自身や飼い主は不利益を被る。
●「しつけ」に関して、「犬の世界」でも人で言う「三つ子の魂百まで」(幼い時の性質は老年まで変らない)が当てはまるようであるから面白い。幼齢時の親からの「しつけ」は人間に限らず犬でも行われる。仔犬が親犬を攻撃したり、仔犬同士の過激な兄弟喧嘩に対して、親が仔の鼻っ面を甘噛むする、いわゆる「マズル・コントロール=muzzle control」で仔犬を窘(たしな)めて躾(しつ)ける行動を取る。相手の腰に乗りかかる「マウンティング=mounting」という行為で「順位付け」もなされる。
<我が家にペットが来たら、まず動物病院へ>
●飼い始めて1両日中には動物病院を受診し、生命にかかわるか、もしくは他のペットに伝染しうる病気に関して、10分程度で必要最低限の健康診断と検査を受ける。
●心雑音が聴取されれば、先天性心奇形が疑われる。頭部エコーでの水頭症の有無も確認する。
●ペットの繁殖業者(ブリーダー)は飼育環境や衛生の向上に尽力しているが、規模が大きく飼育頭数が多いほど、手が回らない。また、業者間での動物の移動は今や全国的である。そのため、回虫をはじめとした消化管内寄生虫や、悪玉菌であるカンピロバクター・ウエルチ菌、ジアルジア・トリコモナス・コクシジウムの原虫などの病原体が蔓延している。駆虫剤や抗生剤、抗菌剤の投与し、その後のワクチン接種時に再検する。
●仔犬・仔猫ともに、耳ダニ(耳ヒゼンダニ)の寄生している率も高い。人には感染しないが、同居のペットには容易に感染するので注意を要する。拡大耳鏡で容易に診断でき、特効薬もある。感染を放置すると、外耳炎が進行し、耳道の狭小化や組織抵抗性の低下を招き、外耳道炎の慢性化をもたらす。持病化するケースもある。
●仔猫は猫伝染性鼻気管炎やカリシウイルス感染症のいわゆる「ネコ風邪」、仔犬の風邪とも言える「ケンネル・コーフ」も少なくない。これらは新しい飼い主への移動や飼育環境の変化などのストレスで肺炎を惹き起こし、死に至ることも稀ではない。抗生物質の長期投与やインターフェロンの点眼や注射でより早期に確実に完治させることが重要である。特に猫伝染性鼻気管炎の病原体であるヘルペスウイルスは、潜伏感染する可能性が高く、「慢性鼻炎」(蓄膿症)に伸展し、「一生ものの病気」となる。
●必要に応じてパルボウイルスや猫エイズ、猫白血病検査を行う。これらは病院内で市販の簡易キットが利用できる。
●犬の場合、フィラリア症の予防をすべき時期で、かつ全身状態に問題が無ければ投与する。
●もちろん食餌の内容についても指導を受ける。
●動物が家に来て1週間は、まず「人と家に慣れる」こと。「しつけ」などは「二の次」である。食欲・排便・排尿が正常ならOK!
<飼い始めに、家で注意することは?・・・>
●パルボウイルスやジステンパー、伝染性肝炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、猫伝染性鼻気管炎ウイルス、猫カリシウイルスなどの感染症は、ウイルスが体内に入って感染が成立し、発症するまでに4~5日から1週間を要する。従って、飼い始めて最低1週間はなるべくストレスを掛けずに飼育する。下痢や嘔吐、発咳、食欲低下、元気消失などの異常が見られたら受診する。
●猫で、特に「地域猫」を飼い始めた場合には、猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスを保有している個体が少なくない。猫エイズ感染の有無は抗体を検出するため、感染後、約1ケ月は検査の信頼性が低い。よって、飼い始めてから1ヶ月は既に家に居る猫を含め、他猫との接触を避けて検査に供する。
<飼い始めて1週間したら2回目の病院へ・・・>
●通常、飼い始めて1週間が経てば、一応の「無罪放免」である。
●病院を受診し、「混合ワクチンの接種」、「フィラリア予防」、「爪切り・肛門嚢絞り・耳洗浄・歯磨き」など家で出来るケア、「しつけのイ・ロ・ハ」、「食餌の種類と給餌法」、「犬種や猫種による好発病」、「ノミ・ダニの駆除法」、「シャンプー法」・・・等々についてちゃんとした説明を受ける。
●以上の説明の所要時間は約1時間である。時間に余裕をもって受診しなければならない※今や、犬猫の寿命は15年。伴侶動物との長~くて良好な関係を築くには、最初が肝心である。肝に銘じましょう!