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6月8日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「マダニが媒介する疾患」です。

ダニとは、
 節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目
 アシナガ亜目
 トゲダニ亜目
 カタダニ亜目
 マダニ亜目:脊椎動物に寄生
 ケダニ亜目
 ササラダニ亜目:土壌中に生息
 コナダニ亜目 コナダニ科:食品に発生
        ヒゼンダニ科:皮膚に穿孔して寄生
         
世界で約2万種
 マダニだけでも800以上の種が存在し、あらゆる環境に適応して生息可能。

日本の犬と猫に生息するマダニ
<犬・猫とも寄生>
・ヤマトマダニ(九州以北)
・ツェルツェマダニ(北海道・中部の山岳地帯)
・タネガタマダニ(全国)
・フタトゲチマダニ(全国)
・キチマダニ(全国)
・タカサゴキララマダニ(西日本)
・ヤマトチマダニ(四国)
<犬のみ寄生>
・フリガネチマダニ(本州・九州)
・クリイロコイタマダニ(沖縄・九州・西日本の一部)
・ヤマアラシチマダニ(本州・九州・沖縄)
<猫のみ寄生>

・ミナミネズミマダニ(沖縄)

マダニが媒介する疾患
<犬の疾患>
1)バベシア症
○病原体:Babesia gibsoni、B.canis
○ベクター:フタトゲチマダニ、ツリガネチマダニ、ヤマトマダニ、クリイロコイタマダニ。
○症状:貧血、黄疸。
○治療:ガナゼック。
○以前は西日本に多いとされていたが、犬の移動が頻繁になった最近では関東でも確認されている。
 
  
2)ヘパトゾーン症    
○病原体:Hepatozoon canis。
○ベクター:クリイロコイタマダニ。
○症状:発熱、食欲不振、筋炎、白血球増多症。
○治療:抗生物質、抗原虫薬
   
3)ライム病
○病原体:Borrelia burgdorferi、B.garinii、B.afzelii。    
○ベクター:シェルツェマダニ、ヤマトマダニ。
○症状:神経症状、脳炎、顔面麻痺。
○好発地域(疫学):北海道、長野など山岳地帯。
   

4)エーリキア症    
○病原体:Ehrlichia canis。
○ベクター:クリイロコイタマダニ。
○症状:出血傾向、発熱、汎血球減少症、関節炎。
○疫学:これまでの発生はすべて海外で感染。海外から輸入されたり、渡航歴のある犬では感染の危険性あり。

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1)ヘモバルトネラ症    
○病原体:Mycoplasma hemofelis、M.hemominutum。
○ベクター:ダニ、ノミ、猫同士の咬傷。
○症状:貧血、間欠的発熱、食欲不振。
○治療:抗生物質。

2)Q熱    
○病原体:Coxiella burnetii。
○ベクター:ダニ、唾液・糞・尿の吸入。
○症状:無症状、死流産。
○治療:抗生物質。

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1)ライム病(人獣共通感染症)
症状:皮膚の遊走性紅斑、発熱など。
1970年代以降アメリカ北西部を中心に流行が続く。欧米では現在も年間数万人が発症。
2)Q熱(人獣共通感染症)
症状:発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、呼吸器症状など。  
3)日本紅斑熱
2008年宮崎県で死亡例。
マダニの刺咬のみによって感染。

マダニは人にも動物にも重篤な疾患を伝播する危険性!!
●マダニの対処法:草むらなどマダニがいそうな所に行かない、予防薬をつけるなどのマダニ対策が大事。万一、マダニを発見した時は決して無理に取ろうとしないことが大切。
●マダニは「鋏角」で皮膚と皮下組織を切開し、その傷に「口下片」と呼ばれるギザギザの歯を差し込んで吸血。さらに接着剤の働きをするセメント様物質を注入し、差し込まれた口下片を固定する。従って無理に取ると、体内に口下片が残り化膿したり、無理に潰すと病原体を伝播する危険性あり。
●マダニによる病原体の伝播の危険性は寄生後48時間以内は低いと考えられているため、早めの対処が重要。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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