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6月30日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「今の時季の留意点」です。

<今日のワンコ> 
 8ヶ月齢、♂のトイ・プードル。1ヶ月前から右後肢を挙上するとの主訴で来院。後肢の筋肉(大腿部)は中等度に委縮。レントゲン撮影により、股関節形成不全と診断。大腿骨骨頭切除術を実施し、抜糸後からリハビリを指示するも、経過が長いこともあり、期待通りの効果が得られないため、術後半月目から鎮痛剤を服用して、徹底したリハビリを再度指導。その後、約半月(手術後1ヶ月)経過して、見事歩行可能となり、筋肉の委縮も改善された。
リハビリの具体的な実施法
1.用手で患肢の屈伸運動を1度につき200回、これを1日に3度行う。
2.患肢以外の3肢を疲労させるまで運動して、結果、患肢を使わせるように仕向ける。
3.患肢以外の肢、特に対角線にある肢にテーピングなどを施して不自由な状態にし、結果、患肢を無理やり使わせる。
4.鎮痛剤を服用してリハビリの効果を高める。
※イヌやネコでは1肢に問題(疾患)がある場合、残る3肢で歩行可能なため、患肢の筋肉の委縮が進行する。問題が解決された後に歩行ができないのは、委縮によるところが大きい。
※リハビリで筋肉を伸展させる時、かなりの痛みを生じる。この時、動物が訴える痛みに飼い主が耐えられず、リハビリが不完全になる。鎮痛剤の使用は痛みを緩和させ、目的を成就するためには極めて重要である。

<この時季の留意点>
ペットの飼い主にとって、この時季は動物病院に行く機会が多いが、忘れていることはないだろうか
1.フィラリア予防
2.混合ワクチン
3.狂犬病ワクチン
4.ノミ・ダニ予防

これらに加え、梅雨が明けて特に注意しなければならないのが『熱中症』である。以下に実際にあった熱中症の事例を示す
窓を閉め切った自動車にイヌを放置:外気温が25℃でも20分で車内は50℃以上になる。
持病をもつ動物:心臓病気管虚脱などの疾患を有する動物は、冷房の入った環境下に置く。
短頭種や鼻孔狭窄のある犬種:冷房下の環境。朝曇っていたので、2階の窓を閉め切って外出。午後から晴れ、帰宅すると動物が死亡していた。
コンクリートの上で火傷:炎天下、うっかり外に繋ぎっ放し。気付くとパッドは言うまでも無く、背中や腹部の皮膚も火傷を負っていた。日中の陽が射している地面の温度は短時間で60℃以上に達する。
地面の温度が下がらないうちの散歩:日没直後、飼い主は自転車で、イヌを走らせて運動(散歩)させた。帰って直ぐに、意識なく虚脱状態になった。イヌは体高が低いので、人間以上に熱の影響を受ける。掌で地面の温度を確認して散歩する。走らせるなどの過度の運動は避ける。

もし、「熱中症」になったら
 まずは、ホースの水を全身にかけるか、風呂の水(沸かしてないもの)に浸ける。水は蛇口から出る水で構わない。氷を加えた冷水は低温過ぎて、かえって深部体温を下げる効果が小さい。これは体表の血管が収縮し過ぎて全体の血流を低下させるため。そして、冷しながら病院に電話して、指示を仰ぎ、病院へ直行

余談の余禄
肥満も熱中症のリスクファクター。早速、病院に相談して減量作戦開始だ。
サマーカット。長毛の動物は、0.2厘刈りは可哀そうだから、3分刈りだ。
1厘刈り:0.5mm、5厘刈り:2mm、1分刈り:3mm、3分刈り:6mm、5分刈り:9mm

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