<副作用とは>
薬物を投与する場合、最も顕著に認められ治療に利用される作用が主作用であり、治療の目的とは異なる作用が副作用である。。副作用のない薬は存在せず、良薬は主作用が表に強く現れ、副作用が少ない程理想である。
<副作用の症状>
一過性の下痢など軽度なものから重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす薬物アレルギーまで様々な症状が見られる。
<動物副作用報告事例>
※獣医療では人間の薬を使う機会も多く存在するが、今回は動物用薬の報告のみを示す。(人体薬を動物に使用して副作用が生じた場合、人体薬の承認所管は厚労相であるため、製薬会社への報告義務など何も存在しない。法的には人体薬の使用は問題点も多いが、実際は使用せざるを得ないのが現実。法の整備不良で、ザル法の一つ)
<平成21年1月から平成23年7月までの31カ月間における犬猫の副作用報告の事例>
※全部で280件の報告事例があり、分り易く下記の表にまとめた。
1.ワクチンの副作用報告例は158件(うち99件死亡)
●即時型アレルギー(アナフィラキシー):数分から数十分で起きる。血圧低下、呼吸困難、虚脱などのショック症状が見られる。
●遅発型アレルギー:数時間から数日で起きる。発熱、蕁麻疹、顔面腫脹などの症状が見られる。
2.抗生剤の副作用報告例は30件(うち20件死亡)
●ワクチン同様のショック症状
●嘔吐、食欲廃絶
3.ノミダニの予防薬などの報告事例が16件(うち6件死亡)
●駆虫剤が6件(うち5件死亡)
※この報告には軽度な副作用は報告が少なく、重度の副作用が出たケースを報告している為、死亡率は高くなる傾向がある。
●人ではアレルギー反応の出やすい薬は事前に皮内反応などの検査をしてから投与するが、獣医療では造影剤や一部の抗がん剤等では実施することもあるが、通常行わないケースが多いのが現状である。
●どんなに良薬であっても、いや良薬ほど副作用があるということを知ってもらうことが大事。そして、薬の投与後はよく様子を観察することが重要である。重篤な副作用は1~2時間以内に現れることが多く、そうでなくても数日は注意が必要である。万一、何らかの異常が見られた場合には早めの連絡が欠かせない。
●また、一度副作用が出現した薬、あるいは同系列の薬物使用は避けるべきである。過去に副作用が確認された薬に関しては、薬品名を記録し、次の薬物服用時には病院側に伝えることを忘れてはならない。
●今回まとめたデータは添付ファイルで閲覧可能である。
さらに詳しい動物薬の副作用報告は「農林水産省」のHPで誰でも確認することができる。
文責: 獣医師 藤﨑 由香