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今週の症例(2013年1月28日)No.2:ダックスフントの免疫介在性多発性関節炎

[症例]:8歳の雌のミニチュアダックスフンド。2カ月前から発熱、元気・食欲の低下で3カ所の動物病院へ行ったが、原因不明と言われたとのことで来院。
[診断]:来院時も体温40.0℃と発熱。血液検査では白血球数が増加、CRP(炎症マーカーであるC反応性蛋白)が上昇していた。炎症部位を特定するためレントゲン検査およびエコー検査を実施するが著変なしで、いわゆる「不明熱」であった。※犬の不明熱の原因として様々な原因が考えられるが(詳しくは過去の記事を参照http://tabaru.9syu.net/case/perm/173.htm)。その中でも免疫介在性多発性関節炎が最も多いという報告がある。本症例も関節穿刺を行い、関節炎の検査を実施。関節液は透明で粘稠性があるのが正常だが、本症例では混濁し粘稠性も低下していた。関節液の塗抹では変性好中球やマクロファージが認められ、細菌は認められなかった。これらの結果から免疫介在性多発性関節炎と診断。
[治療と経過]:ステロイドと免疫抑制剤による治療を開始したところ、症状は改善しCRPも正常範囲内まで下がった。現在、徐々に薬を減らして経過観察中である。

[ワンポイント講義]:免疫介在性多発性関節炎とは…
①正確な免疫学的病理発生は解明されていないが、滑膜における免疫複合体の沈着が認められ、免疫抑制療法に反応するため自己免疫疾患とされている。
②免疫介在性関節炎のうち、骨病変が認められる場合は関節リウマチに分類される。また、基礎疾患(感染症、胃腸炎、腫瘍など)に付随して起こる場合には反応性多発性関節炎に分類される。
③好発犬種は特になく全ての犬種で認められる。発症年齢も若齢から中年齢が多いが、すべての年齢で発症が報告されている。
④症状は発熱、跛行、関節痛、元気食欲の低下が認められるが、発熱と元気・食欲の低下だけが認められる場合も多い。
⑤治療は免疫抑制療法を実施する。ある報告では約50%の症例が寛解し、継続投与が必要なくなるとされている。徐々に投与量を漸減するが、最低維持量に達する前に症状が再発する症例は生涯にわたり投与が必要になる可能性がある。

文責:獣医師 藤﨑 由香

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