(藤﨑):今日は分離不安症についてお話します。
(戸高アナ):分離不安症とはどんな病気でしょうか?
(藤﨑):分離不安症は飼い主の外出による留守番あるいは分離が予測された際に問題行動や症状を示すことで、問題行動としては鳴き声、吠える声、外に出ようとしてドア、窓、飼い主の匂いがついた物などを破壊する、ごみ箱を漁る、不適切な場所での排泄、飼い主の外出を阻止しようとして攻撃的な行動などが認められます。症状としては嘔吐や下痢、震え、足先を繰り返し舐めることによって起こる肢端皮膚炎などが認められます。
(戸高アナ):留守番させれないと飼い主さん困ってしまいますよね…
(藤﨑):軽度の反応は正常反応ですが、激しい場合には深刻な問題行動となります。発生は主に犬で認められ、猫での発生はまれです。
(戸高アナ):どういった子で多いとか何かありますか?
(藤﨑):常に飼い主と一緒にいる環境で育てられた子が急なライフルスタイルの変化により突然長時間の留守番を経験するようになった場合によく見られます。また在宅時、特に出掛ける際や帰宅時に飼い主が強い愛情を示すことで不在時の不安傾向が増強されます。
(戸高アナ):うちの子今はなんとかおりこうにお留守番してくれているのですが、急になることもありますか?
(藤﨑):基本的には飼い始めに問題になることが多いのですが、中には今までおりこうにお留守番できていたのに…という方もいらっしゃいます。そのようなケースでは高齢になり感覚機能の低下や疾病により不安傾向が高まることが原因ではないかと考えられます。
(戸高アナ):留守番中の様子から診断ということになりますか?
(藤﨑):嘔吐や下痢などの症状や破壊行動などが認められる場合には帰宅後でも気付くことができますが、留守番中の様子はなかなか分からないものですよね。留守中にずっと吠えていて、飼い主は気付いていないけど実はご近所の方に迷惑をかけていたなんてこともあります。
(戸高アナ):留守番中の様子一度見てみたいものですよね。出掛けたふりをして吠えていないか聞いてみるのもいいかもしれないですね。これは最初のしつけが肝心ということでしょうが、途中からトレーニングすることもできますか?
(藤﨑):留守番に馴らすしかないわけですが、問題行動の矯正にはかなり時間がかかります。根気よく行動療法を続けていく必要があります。まずは飼い主の指示に従うトレーニングを行います。『待て』『ハウス』などを行い、初めは従えばおやつなど報酬を与えるのが有効になります。次にお留守番中に安心できる場所を提供します。犬猫は屋根のある比較的狭い場所を好みます。この時、気に入っている毛布やタオルを一緒に入れてあげるとより落ち着く空間ができます。ハウス=閉じ込められると思う子も多いので初めは自由に出入りできるようにして嫌なイメージが付かないようにします。
(戸高アナ):家の中自由にしてお留守番させたほうがストレスがないような気もしますが、違うのですね。
(藤﨑):犬の場合だと留守番中に家の中を自由にさせておくと、思わぬ事故になりかねません。留守番中にゴミ箱を漁ってしまった、テーブルに置いていたはずのチョコレートがないなんてことはよくある話です。また高いところから飛び降りて家に帰ったら足をあげてるというケースもあります。安全な一部屋だけもしくはケージに入れるのをオススメしています。
(戸高アナ):そうですね、異物誤食の話もありましたよね。気をつけましょう!
(藤﨑):ではいよいよお留守番です。飼い主の外出を予期した時点で不安は高まるため、身支度をしてもすぐには外出しない、事前にカバンを玄関に置いておくなど外出の手がかりをできるだけ減らして気づかれないようにします。また、出掛けない時にわざと鍵を持ったり靴を履いてみたりするのも有効です。まずは短時間の留守番から始めてください。おりこうにお留守番できたとしても決して帰宅してすぐに構わないようにします。
(戸高アナ):ただいま~としたくなりますが、グッと我慢ですね…
(藤﨑):在宅時にもオフの時間、つまり飼い主が家にいるが動物に関心を示さずに離れて過ごす時間を作るのもいいです。また、不適切な排泄をしてしまう犬では留守番前に散歩を済ませることで不適切な排泄を避けることができたり、少し疲れた状態の方が落ち着きやすくなります。
(戸高アナ):根気よくがポイントになりそうですね。
(藤﨑):そうですね。できなくても決して怒らず、叱るときは無視するのがいいですね。
これから子犬・子猫を迎える方は適度な距離を置いた関係が問題行動を防ぐことになります。可愛がりすぎ、甘やかしすぎに注意していい関係を築いていきたいですね。