(藤﨑):今日は日本で1番有名な忠犬『ハチ公』についてお話します。
(戸高アナ):渋谷駅前の銅像が有名で、渋谷で待ち合わせというとハチ公前というくらい目印になりますよね。2009年にはリチャードギア主演でリメイクされた映画『HACHI約束の犬』、ハリウッド版ハチ公物語で世界的にも有名になりましたよね。
(藤﨑):みなさんもうハチ公についてはご存知かもしれませんが…
秋田犬、ハチは飼い主であった東京大学教授の上野英三郎博士の送迎のため渋谷駅に毎日通っていました。上野博士は体の弱かったハチを自分のベットの下に寝かせるなど大いに可愛がって育てていました。ハチが家に来て17ヶ月後の1925年5月21日、突然上野博士は大学で倒れ急死してしまいます。上野博士の死を理解できなかったハチはその後も朝夕渋谷駅に通い、上野博士の帰りを待ち続けました。
(戸高アナ):上野博士の愛情がハチに伝わっていた証拠ですよね。亡くなってしまった飼い主を待ち続ける姿は健気ですよね…
(藤﨑):そんな姿が新聞に掲載されたのをきっかけにハチの存在は人々に知られるようになり、忠犬ハチ公とよばれるようになりました。渋谷駅前の銅像は1934年募金によって作られましたが、実はハチ公が生存中に建てられておりハチ公自身も除幕式に出席しているそうです。
(戸高アナ):へー、それは知らなかったです。ハチ公の銅像の前でハチ公は大好きだった上野博士の帰りを待ち続けていたのですね。
(藤﨑):そんなハチ公の銅像ですが、第二次世界大戦で金属資源不足のために機関車の部品となってしまいましたが、1948年に再建され現在に至ります。ハチ公は銅像ができた翌年の1935年、普段は行かなかった渋谷駅の反対側にある渋谷川にかかる橋で亡くなっているのが発見されました。渋谷駅ではハチ公の告別式が行われ、多くの人が訪れたそうです。
(戸高アナ):最期のときまで飼い主を待っていたのですね…
(藤﨑):そんなハチ公ですが90年の時を経て、今年の3月上野博士と再会することができました。ハチ公の命日である3月8日に東京大学農学部の正門近くに建てられた銅像ではハチ公が待ち続けた上野博士に嬉しそうに飛びつくデザインとなっています。犬の純真さとそれを受け止める人の素直な心が表現されているこの像ですが、動物と人との関係、深い愛情の交流を示しています。
(戸高アナ):待ち続けた飼い主との再開、感動的ですね。愛犬家としてぜひ一度訪れたい場所ですね。
(藤﨑):実際に行ってみましたが、土日は家族連れはもちろんですが愛犬連れで訪れ、ハチ公の銅像の前に愛犬を座らせ写真を撮る愛らしい姿が見られました。
(戸高アナ):いいですね。ではハチ公は渋谷駅と東京大学にいるということですね…?
(藤﨑):私も気になって調べてみましたが、他にもハチ公の生地である秋田犬大館市のJR大館駅前にも銅像が建っており、ホーム内にはハチ公神社があるそうです。また、ハチ公像を作る際の試作品と思われる石膏像が2006年に山形県鶴岡市で発見され、鶴岡市役所に展示されているそうです。
銅像だけではなくハチ公は亡くなった後、東京大学で解剖されているのですがその臓器はホルマリンという保存液に漬けられ東京大学で保存、展示されています。また解剖後は剥製にされ国立上野科学博物館で展示されています。現在渋谷駅周辺は再開発が行われているようですが、ハチ公像はどこへ行くのでしょうね…
(戸高アナ):渋谷駅前が有名ですが他にもあるのですね。それだけ日本国民に愛されている証ですよね。『HACHI約束の犬』のロケ地であるアメリカ東部アイランド州ウーンソケット市にある鉄道の旧駅舎前にもハチ公の銅像が設置され地元の人に人気ということです。この映画をきっかけに海外でも秋田犬の人気が出たんですよね。
(藤﨑):秋田犬は昭和6年に日本の天然記念物に指定されています。大正時代には絶滅が危惧されるほど頭数が減っていたそうですが、その後保存が進んだのもハチ公の功績と言えるのではないでしょうか?
(戸高アナ):世界的に日本の忠犬が有名というのはすごいですよね。それだけ犬は愛情かけて育てると飼い主に忠実で従順ということですよね。うちの子にも伝わっているといいのですが…
文責:獣医師 藤﨑 由香