(藤﨑):今日は犬猫のCT検査、MRI検査についてお話します。
(戸高アナ):CT検査、MRI検査って人でも聞きますね…。人と同じ検査が犬猫でもできるのですか?
(藤﨑):人と同じ検査が可能です。
(戸高アナ):CT検査とかMRI検査って名前はよく聞きますがどういったことが分かる検査なのですか?
(藤﨑):CT検査はコンピューター断層撮影法ComputedTomographyの略で、身体にエックス線を照射し、通過したエックス線量をデータとして集め、コンピューターで処理することで身体の内部構造を画像化する方法です。簡単に言うと、身体の輪切りの画像を何枚も撮影し、それらを合わせて処理することで二次元画像を作ります。
(戸高アナ):どういった時にこの検査を実施しますか?
(藤﨑):さまざまな病気の場合に適応になりますし、原因が分からない場合に異常がないかどうか検査する場合もあります。特に肺などの胸部、肝臓など腹部臓器での検査に優れています。
(戸高アナ):痛みはありますか?撮影するのには時間はかかりますか?
(藤﨑):ベッドに寝ていると、ベッドが動いてガントリーと呼ばれる円筒状の穴の中を潜ります。この時に撮影が行われています。最近の機械では性能がよくなり撮影時間がかなり短縮されました。このため頭から足先まで数分で撮影可能です。寝ていたら撮影は終了するため特に痛みはありませんが、造影剤という血管を見えやすくする薬を使って検査する場合には点滴をすることがあります。
(戸高アナ):エックス線ということは…放射線ということですよね??
(藤﨑):そうですね。デメリットとしては放射線被曝があげられますが、医療用の放射線は線量が少ないですし、撮影時間はかなり短いので安全に行うことができます。
人の場合にはデメリットなく、身体の内部構造が分かる非常にいい検査なのですが、動物の場合にはどうしてもじっとしておくことができないため、麻酔や鎮静が必要になります。放射線を扱うため撮影時には撮影者も部屋の外に出る必要があります。押さえておくというわけにはいかないので麻酔をかけないといけないというのが動物ではデメリットになってしまいます。
(戸高アナ):そうですよね。動く台の上でじっとしておくなんて、おりこうな子でも難しいですよね。
(藤﨑):しかし状態が悪くて動けない、救急で来て何が起きているのか分からない子に麻酔をかけるのは危険という場合には、ケージに入れて無麻酔で撮影することもあります。
(戸高アナ):例えばどんなことが分かりますか?
(藤﨑):エコー検査で肝臓にしこりがあるといった場合にエコーでは具体的にどの部分にどのくらいの大きさのしこりがあるのか、周りの組織を巻き込んでいないかという判断は非常に難しいのですが、CT検査ではより詳細な情報を得ることができます。また、レントゲンで肺への転移の有無はある程度大きな転移にならないと分からないのですが、CT検査では非常に初期の小さい転移でも確認することができます。
(戸高アナ):なるほど…CT検査ってそんなことが分かる検査だったのですね。では、MRI検査はどうですか?
(藤﨑):MRI検査は核磁気共鳴画像法Magnetic nesonance imagingの略で体内の水素原子がもつ弱い磁気を磁場で揺さぶり、原子の状態を画像にします。MRIでは特に骨に囲まれている部分、脳や脊椎で優れています。
(戸高アナ):CTとMRIでは得意とする場所が違うということですね。
(藤﨑):そうですね。デメリットは時間がかかります。1部位の撮影に数十分かかってしまうためある程度場所を特定してから検査を行う必要があります。また磁力を使って検査しているため金属に反応してしまいます。ペースメーカーや人工関節、骨折の際のピンやプレートが邪魔をすることがあります。犬猫ではマイクロチップが入っていると検査に支障をきたすこともあります。例えば、痙攣が頻繁に起きてしまうといった場合に脳に異常がないかどうかを調べたり、歩けないといった子に脊髄の異常はないか調べる場合に有効になります
(戸高アナ):もちろん麻酔が必要ということですよね?
(藤﨑):MRI検査でも麻酔が必要になります。CT検査よりもMRI検査の方が時間がかかってしまうためMRI検査では麻酔が必須になります。
(戸高アナ):どういったところで犬猫のCT検査やMRI検査はできますか?
(藤﨑):各大学付属の動物医療センターや民間の二次診療施設で実施可能です。
(戸高アナ):人と同じ高度な検査が受けられるんですね。
(藤﨑):獣医師の紹介状が必要ですので、まずはかかりつけの動物病院へご相談ください。
文責:獣医師 藤﨑 由香