症例27
16歳 ミニチュアダックスフンド
半年ほど前からの鼻出血を主訴に来院。止血剤や抗生剤の対症療法で一時は改善していたが、最近に立って再び出血が認められた。
レントゲン検査にて左鼻腔内の不透過性亢進を認めたため、CT検査を実施。
CT検査では左鼻腔内に腫瘤病変と鼻汁の貯留があり、鼻甲介や鼻中隔の骨の一部溶解を認めた。また、前頭洞内にも液体貯留が認められた。
CT検査初見からは悪性腫瘍が強く疑われた。CT撮影終了後続けて細胞診と組織検査、細菌感染を調べる培養検査を実施した。
培養検査では細菌感染は認められず、細胞診・組織検査でも慢性化膿性鼻炎、一部で異型性のある上皮細胞集塊を認めると判断された。
総合的に鼻腔内腺癌の可能性が高いと判断した。
犬の鼻腔内腺癌には放射線治療が有効である可能性があるが、県内で放射線治療ができる施設がないため実施不可能。犬の鼻腔内腺癌は比較的進行が遅く、本症例は16歳と高齢であるため、外科手術などは行わず対症療法で経過観察となった。