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ケーブルテレビ「スクランブル宮崎」第一・二回放送内容-放送日4月10・11日、同17・18日-

これから1年間、犬猫の主に病気について話をする予定だが、その基本となるのが寿命と死因(死亡原因)である。第1回目の今回は寿命について話す

●人では、役所への死亡診断書の提出義務や生命保険会社の正確な調査から、信頼される数字だ出る仕組みがある。犬猫でのデータ集積と解析は困難を伴う。

●2002年と1990年を比べると、12年間で犬が3歳強、猫が約2倍に寿命が延びている。この犬のデータ(表1)は、小型犬、中型犬、大型犬を一緒くたにしたもので、やや正確性を欠く。一般に犬では体重が少ないほど寿命が長い。

●そこでいろんな「年齢換算表(人との比較換算)」や「換算式」が提案されているのだが、統一されていない。表2と3は私の独断も含まれるが、現時点で考えた「換算表」である。この表の見方は、小型犬と猫、中型犬、大型犬、それぞれの生後1年後の年齢とその後1年毎の歳の数(表3)(右端)、そしてそれぞれの年金寿命(人間の60~65歳に相当)、平均寿命(人間の80歳前後に相当)、そして天寿全う年齢(人間の90歳前後に相当)を示している。

●現在の獣医療では、その進歩で種々の病気の予防や治療が可能となり、歳を重ねる毎に寿命が延びているというのが、現状である。

<4月10・11日の放送で使用された表>

表1.<犬猫の平均寿命の推移>
 犬の平均寿命11.9歳(1990年は8.6歳)
 猫の平均寿命9.9歳(1990年は5.1歳)
(東京農工大学・林谷秀樹氏、2002年8月~2003年7月、37都道府県、121の動物病院、犬3239頭と猫1777頭を調査)

表2.<犬猫の年金年齢、平均寿命天寿全う年齢>左からそれぞれ示す。(たばる動物病院、2010年)

猫・小型犬   12年  15年    18年 
中型犬      10年  12-13年  15年 
大型犬      8年  10年    12年 

表3.<犬猫の生後1年後の年齢とその後1年毎の歳>(たばる動物病院、2010年)

猫・小型犬  20歳     4歳/年
中型犬   17~18歳   5歳/年
大型犬    15歳     6.5歳/年

2回目の今回は、犬猫の死亡原因について話す。死亡原因でどのような病気が上位を占めるかを知ることで、予防や病気の早期発見、さらに治療に対して対策を講ずることが可能となる

●この表は某ペット保険会社が公表しているデータである。上位3疾患は、犬が癌、事故(交通事故など)、感染症、猫が感染症、事故、泌尿器疾患である。このデータもペット保険に加入している限られた母集団のものであり、特に仔犬、仔猫の購入時の生命保証の分が入っているため(犬猫共に感染症の死因が多い)、全体の死因を反映しているとは言い難い。

●実際、犬猫の死因を正確に知ることは結構な困難を伴う。何故かと言うと、病院によく連れて行くか/行かないか、ワクチンやフィラリアなどの予防をしているか/していないか、外で飼っているか/室内飼いか、昼間の病院か/夜間・救急病院か、などで大きく異なる。

●参考までに最近15ヶ月のたばる動物病院での死因について調べた結果を表で示す。昼間の診療(本院と神宮分院)での死因は、犬で1位が癌の35%、心臓病が2位で17%、老衰が15%、猫では1位が腎不全で33.3%、癌が23.8%、新生仔の死亡が13.7%であった。

●夜間救急では、犬の場合、1位が癌の31.8%、2位が心臓病、3位が老衰(高齢で、死に至らしめるような特定の臓器疾患が無い)、猫では1位が腎不全の22%、新生仔死亡が2位で15%、3位が来院時既に心肺停止状態にあったもので13%を占めた。

●今回は、犬猫の死亡原因について話した。これらから判るもっとも重要なことは、当り前であるが、現時点において治療の限界がある病気が上位を占めていることである。次回からは、主に死亡原因の上位を占める病気について個々に話す予定である。

<4月17・18日で使用される表>

表1.<<犬猫の死因>>(ア二コム・ペット保険)
犬の死因
 ①悪性腫瘍13.2%
 ②事故12.6%
 ③感染症8.2%
 ④呼吸器疾患6.5%
 ⑤消化器疾患6.1%
 ⑥神経疾患6.1%
 ⑦循環器病5.0%

猫の死因 
 ①感染症20.9%
 ②事故11.6%
 ③泌尿器疾患9.5%
 ④循環器病8.3%
 ⑤悪性腫瘍6.9%

表2.<たばる動物病院における犬猫の死因>(本院と分院の最近15ヶ月間)
犬の死因
 ①癌(悪性腫瘍)35%
 ②心臓疾患(弁膜症)17%
 ③老衰15%  ④自己免疫介在性溶血性貧血6%
 ⑤事故5%
 ⑥腎不全4%
 ⑦肝不全3%
 ⑧⑨肺炎、熱中症2% 
 ⑩その他(クッシング、特発性血小板減少症、、胃捻転など)

猫の死因
 ①腎不全33.3%
 ②癌(悪性腫瘍)23.8%
 ③新生仔死亡13.7%
 ④心疾患(肥大型心筋症)11.8%
 ⑤事故7.8% 
 ⑥⑦糖尿病、甲状腺機能亢進症4.0%

表3.<夜間救急病院における犬猫の死因>(最近15ヶ月間)
犬の死因
 ①31.8%
 ②心不全(肺水腫)15.5%
 ③老衰10.1%
 ④⑤腎不全、事故6.8%
 ⑥自己免疫介在性溶血性貧血4.7%
 ⑦その他(肝不全、胃捻転、中毒など)-31.1%

猫の死因 
 ①腎不全22%
 ②新生仔死亡(ウイルス性呼吸器疾患、衰弱)
15%
 ③DOA(Dead On Arrival、来院時既に死亡もしくは心肺停止状態)13%
 ④10%
 ⑤⑥⑦事故、心疾患、呼吸不全8%

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