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7月31日(土)と8月1日(日)のケーブルテレビ「スクランブル・宮崎」#17のテーマは「犬の僧帽弁閉鎖不全症」です。

 放送は31日(土)が午前10時30分、午後2時30分、午後8時30分の3回、1日(日)が午前9時、午後4時、午後9時30分の3回、計6回です。内容は以下のようです。
 また、「症例のご紹介」欄の「ペット豆知識No.28」も参照下さい。

<犬の僧帽弁閉鎖不全症> 

●当院では、犬の死因で癌に次いで2番目に多い慢性疾患。
●原因は左の房室弁である僧帽弁が遺伝的に粘液変性を惹起し、弁が肥厚・伸展することで閉鎖不全となり、左心房への血液の逆流が見られる。
●病期が進むと、逆流で拡張した左心房が心臓の拍動に影響され気管を刺激して発咳を誘発する。この時の咳は、「ケッケッ」・「ケホケホ」・「カッカッ」のような咽喉に何か詰まらせたような乾性発咳である。
●さらに病期が進行すると、左心房圧の重度上昇から肺静脈圧の上昇を招き、そして肺水腫を呈する。肺水腫の状態では、「ゼーゼー」・「ゼーコゼーコ」という湿性発咳が見られる。肺音は「プチプチ」などのラッセル音を呈する。
●好発犬種はキャバリア、マルチーズ、シーズー、ダックス、パピヨン、プードル、チワワ、柴犬などで小型犬~中型犬に多い。
●発生年齢は3歳の若い犬にも見られないことはないが、通常5~6歳であり、歳と共に発生率は高まる。
●当院での10歳以上のキャバリアについて本症の発生率を調べたところ、100%が罹患していた。また、マルチーズの約30%は本症の投薬中であった。
●診断は心雑音の聴取と心エコー検査で可能である。
●発咳やチアノーゼ、運動不耐性(失神・呼吸速迫)などの症状があれば、即、心臓病処方食(減塩食)・体重減少・運動制限を行うと同時に内服薬(血管拡張剤)の投与を開始する。
●健康診断時に心雑音が聴取された時点で血管拡張剤の投与を始めた場合、その後5年間発咳などの発症を抑制できるとのデータもある。心雑音聴取後にも予防的治療を開始しなければその後2年以内には発症するとされる。
●実際の臨床では、処方食・運動制限・体重減少はもとより、内服薬の充実(血管拡張剤・硝酸系冠動脈拡張剤・気管支拡張剤・強心剤・利尿剤・酸素吸入)でかなりの延命が可能となっている。肺水腫で複数回来院しても、集学的な治療で救命が可能な時代となった。

<まとめ>
●定期的な健康診断による本症の早期発見で、早期の治療開始に努める。

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