●「口蹄疫は犬猫に感染するか」。口蹄疫は牛や豚、緬羊、山羊、駱駝、キリンなどの偶蹄類が感染する。人をはじめ犬猫には感染しない。
●「今日のワンコ」は4歳の雄のゴールデン・レトリバー。「1ヶ月前より流涎多く、2週間前より開口が困難気味に気づき、次第にフードが摂食し難くなり、今は少し残すようになった。」との主訴で来院。用手で開口を試みるも1~2センチしか開けない。頭部の筋肉(咀嚼筋=咬筋・側頭筋・顎二腹筋など)の委縮を認め、触診では疼痛は無い。筋肉の異常で上昇するクレアチンフォスホキナーゼ(CPK)値が高値を示したが、その他レントゲン撮影などでの異常は認めず。以上から、「咀嚼筋炎」を疑い、確定診断のため、鹿児島大学附属動物病院を紹介。大学ではMRI検査と筋電図(EMG)で本症が確定。咀嚼筋炎は他の筋肉と発生学的に起源の異なるタイプ2Mと呼ばれる特殊な筋線維蛋白に対して、免疫学的に抗体が産生され委縮していく疾患である。ステロイド剤の投与が有効であるが、進行すると筋肉が線維化して不可逆性となる。本例は治療に反応して現在ステロイドから離脱し、元気で生活している。再発しないことを祈ろう。
●「今日のメイン」は「健康診断の検査項目」。最近東京から11歳の雌のチワワの○ン○ちゃんが宮崎に引っ越してきた。持参してきた「健康診断報告書」の検査項目の多さに目が点になった。実に24の血液検査項目があり、○ン○ちゃんはそのうち20項目が検査されていた。動物病院によって考え方はまちまちであろうが、「たばる動物病院グループ」の通常の健康診断の血液検査は、一般検査(赤血球数・白血球数・血小板数など)と生化学検査(肝臓・腎臓・血糖値・コレステロールの全6項目)である。高齢動物では心臓・腹部エコー検査を実施する場合も少なくない。猫では若齢でも「肥大型心筋症」を考慮して心エコー検査を行う場合がある。飼い主が動物病院でペットの健康診断を依頼する場合、その詳細(検査項目の検査意義=ターゲットとする疾患、検査費用など)について予め獣医師に説明を求めることが肝要である。