今回は「暑さに特に注意が必要なケース」について述べる。
今年も暑くなってきましたが、熱中症対策は始めているでしょうか?夏は熱中症はもちろん、特に注意が必要なケースがいくつかある。
●まずあげられるのが高齢犬である。
ここ1~2週間、食欲の低下、元気消失を訴える高齢犬が増えている。
元気そうに見えても高齢犬には暑さがこたえるもの、愛犬の年齢が人では何歳に相当するのかを知っておくことが大切である。具体的には、猫・小型犬で12歳、中型犬で10歳、大型犬で8歳が人での年金年齢に相当する。その後は1年に4~6.5歳(小型犬では4歳、大型犬では6.5歳)歳をとる。犬の1年は人の4~6.5年に相当するため、去年までは平気だったからといって安心はできない。
●短頭種
短頭種には、パグ、フレンチ・ブルドック、シーズー、ペキニーズ、ボストン・テリア、イングリッシュ・ブルドック、ボクサー、シャーペイなどがあげられる。これら短頭種では、鼻孔狭窄症、軟口蓋過長症などの異常が認められることが多い。症状としては、喘鳴音(呼吸に際し気道がぜいぜいと雑音を発すること)、いびき、吸気の努力性呼吸、ゆっくり寝ない、吐き気、チアノーゼ、失神などがあげられる。特にパグ、フレンチ・ブルドックではぜいぜい言っている姿をよく見かけるであろう。それはこれらの疾患が関連している場合が多い。
運動、興奮、湿度や気温の上昇により、咽喉頭粘膜の浮腫や炎症を引き起こし、これらの症状が悪化し、呼吸困難に陥ることもめずらしくない。
●心疾患に罹患している場合
特に小型犬では僧帽弁閉鎖不全に罹患しているケースが非常に多い。暑さにより急激に症状が悪化する場合が多い。心疾患の犬では、夏をいかにして乗り切るかが重要である。
●肥満
肥満犬では熱中症のリスクが上がる。太陽が出ている時間での散歩は厳禁である。
★それでは、具体的にはどのように暑さ対策をしていくのか?
まずはクーラーを使用する。曇っている、雨が降っているからといって安心はできない。気温だけでなく、湿度にも影響をうけ、汗をかけない犬にとっては暑いという場合も多い。
対策としてはクーラーをつけること。ただし、クーラーの直風が当たりすぎると冷えすぎるため、クーラーをつけている部屋とつけていない部屋を自由に行き来できるようにすると良いだろう。やむおえずクーラーをつけられない、家に入れられないという場合でも、日陰に入れる、近くに氷を置く等の工夫が必要である。また人と同じく、車への放置にも気をつけたい。気温24℃では20分で車内の温度は48℃まで上昇する。犬は自分で鍵をかけてしまうこともある為、この点でも注意したい。
文責:獣医師 棚多 瞳