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遅れ馳せながら、7月15日のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマ・その1は「猫の皮膚糸状菌症」についてでした。

<今日のニャンコ> 

●この1週間、2頭の子猫の皮膚病を診察した。猫の皮膚疾患の中で「皮膚疥癬(ヒゼンダニ)」と「皮膚糸状菌症」は人へも比較的容易に感染する。症例の1頭は推定生後約45日の雄で960グラムの「サイゾウ」君。全身の数か所に脱毛があり、12日前には外傷のための「断尾術」を受けた経緯あり。「サイゾー」君は後者の診断が下され、治療で完治した。

<皮膚糸状菌症とは>

●人では白癬菌とも言って、爪や陰嚢によく見られる真菌症。俗には「いんきんたむし」。

●真菌症には今回の皮膚糸状菌のような「表在性真菌感染症」と、より深刻な「深在性真菌症」がある。後者は皮下や呼吸器(肺・鼻腔)、神経、眼球内などに病巣をつくる。また、日和見感染的で猫エイズや腫瘍など重大な免疫低下が存在する場合に起こる。病原体はクリプトコッカスやヒストプラズマなどがある。

●「表在性真菌症」の病原体はMicrosporum、Trichophyton、Epidermophytonが主である。特に猫ではMicrosporum canisが圧倒的に多く、98%を占める

●感染は感染猫への直接の接触であるが、猫に使用したブラシやおもちゃ等でも感染が起こる。

感染の危険因子は①非常に若齢、②非常に老齢、③栄養不良、④免疫が低下している状態(猫エイズ、腫瘍、コルチコイド・制癌剤などの使用など)等である。

症状は鱗屑、痂皮、紅斑を伴う不正形または円形の脱毛があり、痒みがないものから激烈な痒みを呈する個体まで多様である。部位は顔面や趾端ばかりでなく全身にも及ぶが、これもノミアレルギー性の粟粒性皮膚炎様の広汎なものまでさまざま

診断:①ウッドランプで病変部に紫外線を当てると、アップルグリーンを呈することで可だが、Microsporum canisの半分の症例は発光を見ない。②真菌専用の培地(サブロー寒天培地)に病変部の被毛や痂皮などを植えて、培地の赤色化の確認や増殖した菌糸や胞子を直接鏡検して観察する

治療:①毛刈り(剪毛)。②抗真菌剤の内服・抗生剤(二次感染)・局所消毒

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