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4月28日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「狂犬病」です。

<はじめに>
 日本では馴染の薄れた狂犬病だが、1950年以前は多くの犬が感染・発症し、人も死亡していた恐るべき伝染病である。今も世界中で年間、人間が約5万5千人犠牲になっている。わが国では2006年、フィリピンを渡航中に犬に咬まれた2人が帰国後に発症して死亡。1970年にも1人の邦人がネパールを旅行中、犬に咬まれて、同じく帰国後に発症・死亡した事例がある。純粋な国内感染は1956年(昭和31年)のヒト1人と犬6頭の発症を最後に見られない。

<宿主>
 人を含めた全ての哺乳類が感染発病し、特にキツネ、オオカミ、実験用げっ歯類は高感受性である。宿主であり、かつ伝播(媒介)動物は、アジアでは犬が主な感染源であるが、その他世界ではキツネ、コウモリ、アライグマ、スカンク、コヨーテ、マングース、オオカミ、ジャッカルなどで主に野生動物である(地域により異なる)。

<感染経路>
 通常は罹患動物による咬傷の部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入する(咬傷感染)
。通常、人から人に感染することはなく、感染患者から感染が拡大することはない。発病すると重篤な神経症状を伴って100%死亡する致死性人獣共通感染症である。

<症状>
①自然感染した犬の潜伏期間は1週間から1年4カ月(平均1ヶ月)と不定。
②前駆期には暗所へ隠れ、食欲不振、情緒不安定などの挙動異常が1~2日間認める。
③その後、狂騒型か麻痺型の症状を示す。発病動物の80~85%は狂騒型で、意嗜、反射機能の亢進、顔貌険悪、各部位の筋肉組織の攣縮、震顫、角膜乾燥、嗄れ声(吠え過ぎ)、流涎などの興奮状態が2~4日続いたのち、運動失調、下顎下垂、脱水、意識不明の麻痺状態を1~2日間示して死亡。
④麻痺型は発病初期から麻痺症状が3~6日間続いて死亡し、人畜への被害は殆どない(牛は麻痺型が比較的多い)。

<発病機序>

<確定診断>
①脳組織の塗抹標本で蛍光抗原を検出する。検出率は犬で98%に達し、迅速かつ確実な方法として広く普及。
②蛍光抗原陰性の場合、必ず脳組織乳剤をマウスの脳内に接種する。接種後3~21日以内に神経症状を呈して死亡したマウスはその脳の蛍光抗原を調べる。
③近年は、感染脳組織からRNAを抽出した遺伝子検査が普及し始めている。
※血中抗体は殆ど上昇しないため、診断には不向き。

<狂犬病清浄国>
 狂犬病の発生がある国を「狂犬病汚染国」と言い、反対に発生の無い国を「狂犬病清浄国」と呼ぶ。後者は日本をはじめ、台湾、シンガポール、スウェーデン、ニュージーランド、アイルランド、ノルウェー、イギリスなど限られた国である。

<登録の問題>
①犬の飼い主は「狂犬病予防法」により、狂犬病予防注射の接種と登録が義務づけられている。
②登録は犬の生涯で1回(従来は年1回)、料金は3,000円である。狂犬病注射料は2,450円、鑑札料が550円である。
※動物病院での個別注射は初診や再診料が必要。
③飼い犬が逃走したり、迷子になった場合には、保健所や動物管理所、警察などに面倒になる。「税金」のひとつと思って、自ら「登録」をするように。

<現状と今後について>
1.狂犬病の国内発生に対する危惧
2.人が海外渡航する場合の留意点
3.もし、国内で狂犬病が発生したら?

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