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7月7日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「マラセチア」でした。

 今回は「マラセチア」について述べる。

マラセチアとは?
 マラセチアは真菌(酵母菌)で正常でも外耳道、口周囲、肛門周囲、皮膚の合わさった湿った部位などに少数認められる。

マラセチアは皮膚炎の原因となる。
 マラセチアが原因で引き起こされる皮膚病には、二つの場合があり、一つはマラセチアへの過敏反応が引き起こす場合で、もう一つはマラセチアが異常増殖した場合である。マラセチア性皮膚炎のほとんどはマラセチアの異常増殖によるものである。

マラセチアはなぜ異常増殖するのか? 
 マラセチアの異常増殖が生じる場合、その原因があることがほとんどである。マラセチアの異常増殖は、皮膚(角質層)のバリア機能低下や脂肪含量増加により引き起こされる。(マラセチアは脂肪親和性の酵母菌である。)
 具体的には、犬ではアトピー、食物アレルギー、内分泌疾患、角化異常、脂漏症(皮膚の分泌物過度な状態)、ステロイドの長期投与などが原因となる。猫では猫エイズ、糖尿病、悪性腫瘍などがあげられる。

好発犬種は?
 マラセチア性皮膚炎は猫では少ないが、犬ではよく認められる。とくに、犬ではウエスト・ハイランド・テリア、ダックスフンド、イングリッシュ・セッター、バセット・ハウンド、アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズー、スプリンガー・スパニエル、ジャーマン・シェパードでよく認められる。

症状に特徴はあるのか?
 症状は痒み、脱毛、紅斑、脂漏、皮膚の肥厚、色素沈着などが認められるが、マラセチア性皮膚炎で特徴的なものとして、「独特の臭い」があげられる。重症の場合には、部屋中に独特な臭いが充満する。

好発部位は?
 指間、頸部腹側、腋か、会陰、足のしわ、爪囲、外耳に多く認められる。爪囲では爪床が茶色になる。

診断方法は?
 診断は症状により比較的容易に診断することが可能だが、細胞診により落花生のような形をした酵母菌を確認することによっても行える。

治療方法は?
 治療は抗真菌剤の投与を行う。そして、もう一つ大切なのは、シャンプーを頻繁(2~3日に1回)に行うことである。抗真菌作用のあるシャンプーもあるため、シャンプーは皮膚の状態に合わせ適切に選択する。

予防できるのか?
 予防法として、皮膚の状態が改善しても週に1~2回のシャンプーを行うと良い。また、雨あがりの散歩後など、指間が湿った場合には消毒を行うことも効果的である。

感染力はあるのか?
 マラセチア性皮膚炎は他の動物や人への感染性はない。ただし、免疫抑制状態の個体は例外である。

文責:棚多 瞳

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