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12月1日(木)のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「尿路結石症と食餌療法」についてでした。

 今回は「尿路結石症と食餌療法」について述べた。前回、猫の尿管結石について述べたが、犬や猫は尿路結石症になりやすい。

●犬や猫に多い尿石の種類とは?
 犬や猫では、ストラバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が多く認められる。1980年代には犬や猫の尿路結石のほとんどはストラバイト結石であったが、その後シュウ酸カルシウム結石の割合は増加し、現在ではストラバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の発生率に大きな差はない。

 今回は、この二つの結石とフードの関係について述べる。

<ストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石>
★若い犬や猫に多く認められる。
★感染によりストラバイト結石が形成されることもあり、微生物の産生するウレアーゼがアンモニアを生成することにより生じる。そのため、ストバイト結石は別名ウレアーゼストーンとも呼ばれる。感染誘発性のストラバイト結石は子犬や子猫からも検出される。わずか5週齢の子犬からも検出されたという報告もある。

●食事にはどのようなことを気をつけるべきか?
 低容量の蛋白質、マグネシウム、リン酸を含む食事が望まれる。のどの渇きを増加させるために塩化ナトリウムが加えられているフードもある。
 尿石の種類が何であれ、飲水量を増やすことが大切である。ドライフードに含まれる水分は10%以下、一方ウェットフードに含まれる水分は72%以上であり、ウェットフードを与える方が尿は希釈され、尿石予防へとつながる。

●一度できてしまった結石は溶けるのか?
 ストラバイト結石は食事管理により溶解する可能性がある結石である。感染により結石が形成されることもあるため、感染が疑われる場合には抗生物質の投与も同時に行う。犬では、無菌性のストラバイト結石の方が感染誘発性のものに比べて溶解に要する期間は短い傾向がある。

<シュウ酸カルシウム>
★若い個体に少なく、年齢とともに増加する。12ヶ月齢未満の犬から回収した尿石のうち、わずか4%がシュウ酸カルシウムだった、というデータもある。
★犬では雄に多く、ミニチュアシュナウザー、シーズー、ヨークシャテリア、パピヨンなどに発生しやすい。

●食事にはどのようなことを気をつけるべきか?
 過剰の動物性蛋白質、カルシウム、シュウ酸塩、ナトリウムを含まない食事が良い。カルシウムとシュウ酸はどちらか一方だけ制限するともう一方の吸収、尿中への排泄が増大する可能性があるため、両方の摂取を制限することが必要となる。また、大量のナトリウム摂取は腎臓からのカルシウム排泄を促す。
 人の食事やトリーツを摂取している犬ではシュウ酸カルシウム結石形成のリスクが高まるとも言われている。

●一度できてしまった結石は溶けるのか?
 残念ながら溶けない。したがって、最近増加傾向にある猫の尿管結石はそのほとんどがシュウ酸カルシウム結石であるため、一度できでしまった結石は食事の変更により溶解しない。

※※フードの選択は基礎疾患のある場合や老齢あるいは若齢の場合などでは注意が必要である。かかりつけの病院でしっかり相談してから決めることが大切である。

文責:棚多 瞳

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