コンテンツへスキップ

9月6日のMRT「ペット・ラジオ診察室」のテーマは「犬の防げる病気のベスト4」です。

 飼い主が日頃から注意すれば手術をしなくて済む場合も少なくない。犬での手術のNo.1は避妊と去勢、次いで腫瘍摘出、それらに続くのが異物の誤食や子宮蓄膿症、骨折などである。最近の症例を例に挙げながら、手術にかかる費用などを含めて日常の注意点を述べる。

○3歳半のコ―ギー、異物の誤食(トウモロコシ)は先週のこと。
○1歳半のトイ・プードルの前腕骨の骨折は10日前のこと。
○椎間板ヘルニアのミニチュアダックスはこの3週間で2頭来院。
○子宮蓄膿症はこの2週間で3頭。1頭は8歳のトイ・プードル。1頭は12歳の雑種。そして3頭目は2歳半のゴールデン。3頭とも仔犬を生ませる予定(考え)は無かった。

○異物の内視鏡摘出は数万円、胃切開は10万円以上、腸切開や腸切除は抜糸まで15万円以上の費用がかかる。
○脚の細いトイ・プードルやチワワ、パピヨンなどの前腕骨骨折はプレートによる整復手術とその後のギブス交換、そして抜糸まで15万円以上の出費。
○椎間板ヘルニアについては、グレード3(起立できず膝行る)以内がほとんどで、グレード4(排尿障害)であってもできる限り早期のステロイド剤注射で手術に至らないケースが多い。ミニチュアダックスに関しては、当院ではこの数年間、手術例がない。必要例がなかったからであり、全頭が歩行可能となり、満足できる結果である。椎間板ヘルニアの重症度は、飛び出して脊髄を圧迫する椎間板物質の量や飛び出す時のスピードに因る。特に後者が重要とされてきたが、手術を奨励している文献はかなりの年代物で、当時は体重の重いスタンダードダックスが主体であったため、重症例が多かった。そのため、手術しなければならないケースも少なくなかったが、ミニチュアがほとんどの昨今では1週間の安静とその後の精力的なリハビリでほとんどが回復する。病院にもよるが、費用はCTや脊髄造影検査、そして手術代を入れると15万円~20万円、30万円、東京では50万円、100万円を請求する動物病院もある。
○犬の子宮蓄膿症の罹患率は、以前は6割と言われていたが、最近の長寿で9割に上っている。初回発情前に避妊手術すれば、乳腺腫瘍のリスクも著しく低下できる。費用は犬の体重によるが、10万円前後から15万円の出費となる。若齢時(3歳まで)の避妊手術は3~4万円。

○「災難や病気は自分や我が家のペットにはふりかかって来ない」と思うのが愚かな我々の常である。異物の誤食で2回、3回と手術する犬もいなくはないが、1度手術をすると「気合」(動物の周囲に食べられそうな危険物を置かない)の入る飼い主がほとんどである。
○トイ犬種の前腕骨骨折も両前肢を骨折するのは10~20頭に1頭の割合で、1回骨折すると、飼い主はその後明らかに生活環境や生活習慣に留意する。抱き方への配慮や椅子からの飛び降りなどを避けることで、再骨折や反対側の骨折は防げる。
○椎間板ヘルニアも、ミニチュア・ダックスでは生涯9割が罹患するが、一度発症するとほとんどの飼い主が犬の生活環境(ベッドやソファ―などに上り下りさせないなど)に留意し、再発は著しく減少している。肥満にさせないことも重要である。
○また、当院では、10歳以下の小型犬や7~8歳以下の中型犬では心臓病や呼吸器系(短頭種の気管虚脱や軟口蓋過長症など)に持病が無ければ避妊手術を勧めている。

○要は、病気になった場合の費用は高価であるということ。動物にも苦痛や痛みが伴う。自分の犬猫でなくとも、親戚や近所、友人のペットが病気で手術・入院して、費用がいくらかかったと聞けばそれなりの注意を払うようになる。況してや、我が家に直接災難が降って湧くと更に気合が入るということである。

○「いつまでも有ると思うな親と金、いつまでもないと思うな運と災難」ということ。

先頭へ

電話受付