「小型犬の骨折」でよく見られるのが、子供が抱っこしていて床に落ちたり、ソファーやベットから飛び降りて前肢を骨折するパターンです。小型犬の前腕骨は非常に細いため、今までの骨折治療用のプレートやスクリューでは規格が大きすぎるようになってきました。最近では、従来よりもさらに細くて小さいタイプのプレートとスクリューを使用しなければ”超小型犬化”に対応できない状況です。今回導入したプレートとスクリューはロッキングシステムと呼ばれ、スクリューとプレートが一体化(創内固定とも呼ばれる)するため、旧来のインプラントに比べ安定性も大きく向上しています。さらに手術手技も簡素化され、動物の手術侵襲(組織のダメージ、とくに骨膜血流の温存=癒合不全防止)や麻酔時間の低減にも寄与します。
骨折した犬の飼い主様から「このくらいの高さで骨折するとは思わなかった」というお話をよく聞きますが、ちょっとした高さからの落下で骨折は起きてしまいます。日頃から高いところには登らせないようにしつけすることが重要です。また留守番させる時にはケージに入れるようにすることで骨折を防ぐことができます。
骨折している場所と骨折の仕方によって、プレートやスクリューを使う方法、ギブスでの固定、ピンとワイヤーを使う方法など、その整復法は異なります。骨折しないようにすることがもちろん大事ですが、万一の時はすぐに受診してください。