放送は8月21日(土)が午前10時30分、午後2時30分、午後8時30分の3回、22日(日)が午前9時、午後4時、午後9時30分の3回、計6回です。内容は以下のようです。
<犬猫の血液型と輸血>
1.輸血の必要な場合(疾患)
●ヒトの輸血製剤には全血輸血、濃厚血小板、濃厚赤血球、新鮮凍結血漿、アルブミン製剤がある。
●犬猫では全血輸血、赤血球輸血、血漿輸血が一般的である。
●ヒトでも動物でも赤血球の代用となる製剤は現在も研究段階で臨床応用されていない。
●輸血を必要とする疾患は犬のバベシア症、猫のヘモバルトネラ症、免疫介在性溶血性貧血、末期腎不全、腫瘍(特に腹腔内出血を伴う腹腔内腫瘍)
●炎症性腸炎やリンパ管拡張症など蛋白喪失性腸炎やパルボウイルス感染症で低蛋白血症を呈する症例には、「血漿輸血」を行う。
2.犬の赤血球(血液)型
●犬の血液型(DEA=Dog Erythrocyte Antigen=犬赤血球抗原)にはDEA1~13の13型がある。特にEDA1にある1.1,1.2,1.3の3つのサブタイプの中の1.1が重要である。
●ドナー犬のEDA1.1が陰性であればレシピエント(受血犬)はDEA1.1が陰性、陽性のいずれであれ輸血が可能である。
●国や地域、品種で血液型の頻度は異なるが、文献によればEDA1.1陰性は30~55%、陽性は45~70%である。
<猫の赤血球(血液)型>
●猫の血液(血球)型にはA、B、AB型の3つがある(猫のABシステム)。A型(A/A、A/B)、B型(B/B)、AB型の3種類の対立遺伝子からなる。A型はB型に対して完全優性である。
●しかし、AB型は第3の対立遺伝子として遺伝するため、AB型同士の交配でのみAB型の子猫が誕生する。猫のAB型は極めて稀な血液型である。A型が59~100%と多い。品種によっては100%がA型である。
●猫では犬と違って、自然発生同種異系抗体を有しているため、初回輸血でも血液型の不適合によって死に至らしめる重篤な輸血反応を呈する。
●輸血は血液型を検査して、同型を輸血するのが原則だが、AB型の猫に同型の猫がどうしても見つからない場合にはA型の血液の輸血も可能である。
<交差適合性検査>
●主試験はドナーの赤血球とレシピエントの血漿を混合して、前者に対する後者・血漿中の同種異系抗体を検査する。副試験はその逆でドナー血漿中の同種異系抗体を調べる検査である。
<輸血の原則>
●交差適合検査の実施が原則。
●ドナー側の問題(年齢・体重・健康で持病が無い・病原体が全て陰性・ワクチン接種済など)
●輸血は貧血や低蛋白血症で苦しむ動物にとって、この上ない「贈り物」である。日頃から、猫友や犬友を2~3頭はつくっておく。
さらに詳しくは、「症例のご紹介」の「ペット豆知識No.45」を参照下さい。