地域猫や狸の皮膚疥癬は以前より良く知られている。今でも特に初診の仔犬や仔猫では珍しい疾患ではなく、しばしば遭遇する。症状は脱毛と激しい痒みである。残念だが人にも感染する。診断は毛検査や皮膚の掻爬(そうは)=スクラッチ検査(いずれも鏡検する)を行い、疥癬ダニあるいは虫卵を確認する。特効薬(アイボメクチン)があるが、生命にかかわる神経症状(GABA受容体ブロック)の副作用を生ずることがあるため、副作用が出現する確率が高いか低いかを知るための遺伝子検査(特に犬の場合)が必要である。(12月4日、下記のネット記事を見つけましたので、参考にして下さい。詳しくは「症例の報告」で「疥癬」を(クリックして)ご覧ください(8件ヒットします))。
[伝染病流行の影響? 淡路島内のタヌキ激減](神戸新聞NEXT 12月4日(水)11時41分配信)
兵庫県の淡路島内でタヌキの姿を見かけることがなくなり、関係者らは激減している可能性があると見ている。原因について、猟友会や農家らは、2011年ごろに疥癬と呼ばれる伝染病が流行し、被害は島内全域に及んでいると指摘している。
疥癬はダニの寄生によって起こる伝染性の皮膚病。激しいかゆみがあり、全身の毛が抜け、冬場の寒さなどで死に至る場合もある。
「ぐんと減っている」と実感するのが、県猟友会中淡支部の○○○○支部長=兵庫県洲本市。11年冬、池の近くやイノシシのわなのそばで毛がなくやせたタヌキの死体約10匹を目撃した。例年は何匹もわなにかかるが、12年は1匹だけで今年は姿を見ない。島内全域の山林をパトロールする淡路森林組合の○○○○さんも1年前に疥癬のタヌキを見て以来、出くわしていないという。
タヌキはビニールハウスに穴を開けて果実を狙い、イチゴ農家にとって天敵。実家がイチゴ農家の男性は今年2~3月に毛が真っ白なタヌキを2、3回見た。「やせこけてみすぼらしかった。最近は姿を全然見なくなった」。
南あわじ市には例年、牛舎に入り込んだり、交通事故にあったりしたたため処分を求める通報が5~6件ある。しかし12、13年は通報がゼロになった。
県などによると、野生タヌキの個体数の推移を把握できるデータはないという。11年に洲本市・三熊山の麓で皮膚病のタヌキを目撃した環境省自然公園指導員の○○○○さんは「昔から民話にも登場する身近な動物。絶滅しなければいいが…」と懸念。一方、野生動物保護管理事務所関西分室(神戸市)の○○○○・上席研究員は「一時的に減っても耐性がある個体が残るはず。対策を講じるほどではないと思う」と話している。